2010年は、日本とポルトガルが近代的な外交関係を樹立して150年の記念の年です。
日本とポルトガルとの交流は1543年の種子島鉄砲伝来にまで遡り、ポルトガルは欧州諸国の中で、日本と最も長い歴史を有する国です。こうした伝統的な両国関係は、1860年8月3日の修好通商条約締結をもって、今日に繋がる近代的な関係を樹立し、新しい時代を迎えました。
コミュニティシネマセンターでは、この記念の年に、東京国立近代美術館フィルムセンター、ポルトガル大使館と共同で、ポルトガルの優れた映画作品を上映する「ポルトガル映画祭2010」を開催し、ポルトガルの文化や芸術に対する理解を深める機会としたいと考えております。
日本でポルトガル映画が上映される機会は限られていますが、百歳をこえるいまも現役で映画を作り続ける巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督の作品は90年代以降、ほとんどの作品が劇場公開され、多くのファンを獲得しています。また、『ヴァンダの部屋』『コロッサル・ユース』が劇場公開されたペドロ・コスタ監督は若い映画ファンの間である種カルト的な人気を博しています。今回の映画祭では、これらの監督に加えて、これまで公開が熱望されながら実現しなかったジョアン・セーザル・モンテイロ監督作品をまとめて上映するほか、国際的に注目を集めつつある若い監督の作品なども紹介し、ポルトガル映画の魅力に触れていただけるものとしたいと考えております。
この映画祭は、また、コミュニティシネマセンターが全国各地の映画専門施設(シネマテーク)と共同して行うシネマテーク・プロジェクトの第3弾として位置づけられるもので、東京での開催後、全国10会場に巡回する予定です。



シネマテーク・プロジェクト
「映画上映のための専門的な施設をもち、プログラミングや普及活動、技術面を担うスタッフを擁する、映画史的、批評的なプログラムによる上映活動を目的とした公共的な上映機関」=シネマテークが連携して、これまで上映される機会のなかった映画史上重要な作品を上映・巡回するのが「シネマテーク・プロジェクト」です。 これまでに、「日仏交流150周年記念 フランス映画の秘宝」、「生誕百年記念 山中貞雄監督特集」を全国10会場に巡回してきました。