各地のコミュニティシネマ活動報告
昨年2003年9月に開催した映画上映ネットワーク会議、“コミュニティシネマ宣言!”の結果報告を同年11月にお送りし、“コミュニティシネマ”という概念とその流れ、そして今後の方向性をご報告いたしました。 今回は、その後の各地での主な活動状況をご報告させていただきます。コミュニティシネマのあり方や活動は、各地域ごとに個別の状況や方法があり、一言で表現することはできませんが、事務局では、なるべく多くの事例をご紹介してまいります。
高崎市におけるコミュニティシネマ活動
コミュニティシネマの活動基盤となるミニシアターの建設決定! 3/25記者発表予定。4/4シンポジウム開催。
■高崎映画祭でつちかわれた実績を基に、常設の上映館(シアター)をもつことを目指して活動をつづけてきたたかさきコミュニティシネマでは、このほどシアターの建設を決定。4月4日にはこのシアターが建設されるビル内でシンポジウムを開催する。 3月25日に記者発表を予定している。ご取材のお申し込みは下記担当者まで。
問い合わせ: NPO法人たかさきコミュニティシネマ設立準備委員会 茂木正男 高崎映画祭事務局 027-326-2206(不在時、留守電) Fax 027-326-1311
高崎市では1987年より高崎映画祭が開催され、近年では映画祭期間中に80本を超える映画を上映している。2003年3月高崎市の市街地から映画館がなくなったのを受け、映画祭事務局が中心となり、常設上映館(ミニシアター)建設を目指して「NPO法人たかさきコミュニティシネマ」(申請中)を設立。そして、2004年3月、念願のミニシアターの建設が決定した。
今後の具体的活動: [1] 2004年3月中旬、高崎市に対し、“ミニシアター建設”に向けた概要資料を提出。高崎市中心市街地活性化支援事業として、市の支援が開始される予定。 [2] 2004年3月27日から始まる「第18回高崎映画祭」の来場者に“ミニシアター建設支援”を依頼。 [3] 市民出資型映画館として様々な形での支援を求めていく。 [4] 2004年4月4日「たかさきコミュニティシネマ・シンポジウム」を開催。参加希望者は、上記担当へ [5] 2004年5月下旬群馬県立近代美術館(高崎市の公共機関)にて上映会開催予定。 [6] 群馬県内のフィルムコミッションや他の芸術文化活動を継続している団体との共同作業から「ぐんまコミュニティ」成立へ向けて活動を進めていく予定。
松本市におけるコミュニティシネマ設立への活動
松本市の老舗映画館「松本中劇」、突然閉館! 「松本CINEMAセレクト」の上映会中止に追い込まれる!
■「松本CINEMAセレクト」(自主上映会)は、長年にわたり市民に愛され、親しまれていた老舗の映画館「松本中劇」(1945年設立)を活動基盤として上映会を行ってきた。松本市でも、近年、シネコンが建設されたが、「松本中劇」という街なかの映画館で行われるCINEMAセレクトのバラエティに富んだ上映作品には定評があり、ここでしか観ることのできない作品のファンは多かった。この3月の、松本中劇の突然の自己破産宣告→映画館の閉鎖により、同上映会も中止を余儀なくされた。松本市民にとって、「松本中劇」の存在は大きく、その閉館を惜しむ声が内外から寄せられ、大きなニュースとなっている。「松本CINEMAセレクト」主催者は、活動継続のため、当面の上映会場を探す一方、地元商店会とともに、この映画館を存続させるため、コミュニティシネマを設立することを検討、新たなる活動へむけて話し合いが始まる。
問い合わせ: 自主上映会 松本CINEMAセレクト 宮崎善文 0263-98-4928
今後の具体的活動: [1] 上映場所を失い、活動中止状態の中、公共機関を利用した継続と今後の活動方法を模索中。 松本市の映画ファンより、映画館・上映会の存続を願う意見が殺到している。 [2] コミュニティシネマの設立を目標に地元商店会の方々とともに勉強会を開催予定。 [3] 公共の施設を利用し、デジタルコンテンツ協会が提供する「デジタルdeみんなのムービー」というシステムを活用してデジタル作品や16ミリ作品の上映を開催。
大阪市のコミュニティシネマ活動
大阪市“コミュニティシネマ大阪 事業”スタート! 上映会、シンポジウムを開催!
■大阪市では、昨年9月、“コミュニティシネマ宣言!”をテーマに映画上映ネットワーク会議が開催されたことを機に“コミュニティシネマセンター大阪事業”がスタート、財団法人大阪都市協会内に専任のスタッフを置き、映画上映のみならず映画人を育てる活動も開始している。
問い合わせ: コミュニティシネマセンター大阪 膳(かしわで) (財)大阪都市協会 06-6208-8791
これまで: 東京につぐ大都市大阪にはすでに多数のミニシアターが存在している。この大都市において、コミュニティシネマに何ができるのか。ミニシアター「シネ・ヌーヴォ」代表景山理氏らを中心にそのあり方を検討してきた。 “コミュニティシネマセンター大阪 事業”ではまず、「映画連続講座〜日本映画を関西から〜」を開催。コミュニティシネマに関するシンポジウムも実施している。また、東京国立近代美術館フィルムセンターの協力を得て開催された「中平康レトロスペクティヴ」も好評を博した。
具体的活動: [1] 2004年2月21日〜「中平康レトロスペクティヴ part2」シネ・ヌーヴォ(終了) [2] 2004年1月30日〜「映画連続講座〜日本の映画を大阪〜」関西にゆかりのある映画人の映画体験を中心とし、映画の未来を考えていく講座。大阪都市協会ギャラリー [3] 3月12日 ワークショップ「映画上映のノウハウ教えます」 [4] 3月19日 シンポジウム「コミュニティシネマについて語ろう」 [5] 多様な映画の上映、映像作品や文献の保存と公開、ワークショップや講座の開催、映像に関わる人材の育成、映像作品の製作・配給などを実施する予定。
金沢市におけるコミュニティシネマ活動
“金沢コミュニティシネマ推進委員会”2004年度事業計画発表! 「金沢コミュニティ映画祭」「子ども映画教室」や特集上映を実施。
■金沢市内のミニシアター「シネモンド」を中心に、竪町商店街、2004年秋開館予定の「金沢21世紀美術館」、金沢インディーズ映画祭などを構成メンバーに設立された “金沢コミュニティシネマ推進委員会”では、2004年度の事業計画を発表した。2003年にはじまった「金沢コミュニティ映画祭」は、韓国・全州国際映画祭との連携企画を予定。「子ども映画教室」の連続開催、21世紀美術館での特集上映会の開催などを予定している。
問い合わせ: 金沢コミュニティシネマ推進委員会 土肥悦子 シネモンド内 076-220-5007
これまで: 金沢市郊外に3つのシネコンができ、“街なか”から映画館が消えた。街なかに残された唯一の映画館であるミニシアター「シネモンド」、竪町商店街、金沢21世紀美術館、金沢インディーズ映画祭が中心となって2003年8月に「金沢コミュニテシシネマ推進委員会」を設立、コミュニティシネマの設立に向けて準備を進めてきた。金沢市文化ホール、竪町商店街ティーズホール、金沢役所前広場や新天地商店街、タテマチ広場等を会場に、上映会やワークショップ、シンポジウムなどを開催した「金沢コミュニティ映画祭」は好評を得た。
具体的活動: [1] 金沢コミュニティ映画祭、今年は全州国際映画祭と連携、金沢市をあげてのイベントとなる予定 [2] 「子ども映画教室」連続上映会&製作ワークショップの実施 [3] 2004年開館する「金沢21世紀美術館」を会場に連続特集上映を実施
埼玉県におけるコミュニティシネマ活動
深谷市のNPO運営によるミニシアター「深谷シネマ」、 さいたま市“埼玉映画ネットワーク”などが活動を展開。
■NPO法人シアター・エフによって、埼玉県深谷市に開館されたミニシアター「深谷シネマ〈チネ・フェリーチェ〉」(2002年開館)は、コミュニティシネマのさきがけである。人口10万人ほどの映画館のない町深谷で、市の市街地活性化活動を担う “深谷TMO(タウン・マネジメント・オーガニゼーション)”事業の一環として、旧さくら銀行ビルを改築し映画館がつくられた。NPO法人シアター・エフはTMO事業の計画立案段階から協力、現在はこの映画館の運営を行っている。シネコンなどでは上映されない多様な映画を市民に提供、下駄履きで行ける「わが町の映画館」として多くの市民に親しまれている。 さいたま市を拠点に活動を続ける自主上映グループ、 “埼玉映画ネットワーク”では、公共ホールを会場に毎月上映会を開催している。今後、さらに活動を発展させ、映画を通じたまちづくり、そして、さいたま市の映像文化の母体となるべくNPO法人化を計画している。主宰者らは、深谷シネマのように空き店舗を利用した映画館の開館を目指したいと語っている。
問い合わせ: 深谷シネマ NPO法人シアターエフ 竹石研二 048-551-4592 埼玉映画ネットワーク 鳥羽恵 Tel&Fax 048-825-4373
高知市のコミュニティシネマ設立への活動
自主上映激戦地の高知市でも、 常設上映館の開館を目指して、“コミュニティシネマ”活動がスタート。
■国内でも有数の自主上映の「激戦地」高知市でもコミュニティシネマ設立の動きがスタートしている。ミニシアターもシネコンもない市である高知では、現在も多くの自主上映団体が活動を続けている。その、数ある自主上映団体のひとつである、シネマLTGが中心となり、2003年8月「高知にコミュニティシネマをつくる会」準備会をスタートさせた。今後は、高知県文化財団などの協力を得ながら、商店街の空き店舗活性事業等を活用した常設上映館の開館を目指して活動を展開していく予定。
担当者: 高知にコミュニティシネマを作る会 有光文平 シネマLTG内 Tel.088-891-5067
その他の地域の活動状況レポート
[1] 北海道 ■札幌市では、市民映画館(ミニシアター)「シアターキノ」内に、北海道コミュニティシネマセンター(仮称)を設立すべく準備が進行中。 苫小牧市でも市民映画館「シネマトーラス」が、コミュニティシネマの設立を計画している。
[2] 新潟県 ■2月に新潟市で開催された「にいがた国際映画祭」協賛企画として、ローカル・フィルム・コミッションフォーラム新潟「まちは、映画でよみがえる」が開催された。(主催;フィルムコミッション“にいがたロケネット”)新潟市では、すでに市民映画館シネ・ウインドがコミュニティシネマ活動を展開しており、今後、映画祭やロケネットとも連携しながら充実した活動を展開していくことが期待される。 ■長岡市では、映画上映団体“市民映画館をつくる会”が中心となり、上映活動を積極的に行っている。
[3] 仙台市 ■せんだいメディアテークでは、3月26日〜28日まで「映画上映専門家養成講座[シネマ・マネジメント・ワークショップ]」を開講する。この講座は、仙台における“コミュニティシネマ”活動をになう人材の養成を目指して開講されるもので、せんだいメディアテークでは、2004年度以降も継続的に実施することを予定している。
[4] 川崎市 ■川崎市の、映画・映像の収集保存と上映を行う専門施設「川崎市市民ミュージアム」は、市内の映画関係団体、日本映画学校、KAWASAKIしんゆり映画祭、美須興行(チネチッタ)等と連携をはかり、川崎市における新たな映画・映像文化の創造を目指す「川崎シネマ・コミュニティ」構想をとりまとめる。4月以降、関連機関でミーティングを重ね、6月頃には構想を発表する予定。
[5] 三重県・伊勢市 ■伊勢市の映画館、伊勢・進富座ではミニシアターとしてインディペンデントの洋・邦画の上映を行う他、地域の自主上映グループに協力して、“青春キネマ館”や“キッズシアター”などの上映会を行っている。このほかにも地域の学校と連携した上映会を行うなど、地域に密着した、まさに“コミュニティシネマ”としての活動を続けている。このような地域に密着した映画館と“コミュニティシネマ”がどのような協力、連携を形成できるのかを考える上でモデルケースとなる可能性がある。
コミュニティシネマ支援センターでは、皆様からの情報の提供をお待ちしております。
コミュニティシネマ支援センター事務局 〒107-0052 東京都港区赤坂1-11-28 赤坂1丁目森ビル4Fエース・ジャパン内 tel 03-5562-4422 Fax 03-5562-4423 e-mail film@acejapan.or.jp 担当:岩崎、熊谷 広報:梶谷090-3335-9582
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